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【事業編】自社の子会社化、COOとしての決断

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2022.12.08

インタビュー

医療情報ネットワーク

アンター株式会社の取締役COO西山氏は、新卒で株式会社リクルートに入社し数社を経てデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社に入社。そして、2018年にアンター株式会社に参画しました。彼女にとっては未知のヘルスケア領域に足を踏み入れたのです。今回は西山氏にアンター株式会社の事業の社会的な影響やサービス設計、JMDC株式会社グループにジョインした経緯やその後の変化について伺いました。

【プロフィール】
株式会社リクルートに新卒で入社。デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社にてベンチャーの営業支援に従事。2018年アンター株式会社に参画。2021年にJMDCにグループイン。

アンターのサービスによって救われる命がある

ーーアンターが提供するサービスにはどのようなものがありますか?

当社の主なサービスは以下の3つです。

Antaa Slideは医師が勉強会やセミナーのスライド資料をアップロードすることで、他の医師や医学者が閲覧できるスライド共有サービスです。若手のドクターが夜間診療時に初めて診察する疾患について調べたり、日々の診療の中で他の病院での治療方法を調べたりといったときに活用していただいております。中には100万PVを超えるスライドもあるんですよ。研修医の先生が当直中に閲覧していたり、勉強のための情報収集に活用したりといった声も頂戴しております。

2017年3月にスタートしたのは、医師達が集う質問解決プラットフォームAntaa QAです。Antaa QAでは診療中や当直中に生じた疑問、診療方針の悩みや勉強中の悩みを相談できます。一つの質問に様々な診療科の医師が回答し、盛んに意見の交換が行われております。先生方がより快適にご利用いただけるようスライド作りに役立つフリー画像やイラスト素材をまとめたり、作り方のノウハウ記事を作成したりと、ストレスなくスライドを作れる環境を構築しています。

Antaa Channelは医師のためのオンライン動画サービスです。テキストでのインプットや質問だけではわからない疑問を動画で学べます。

ーーこれらのサービスの社会的意義を実感したエピソードはありますか?

やはりアンターのサービスによって、一人の患者さんに向き合う1人の医師をみんなでサポートして、医療が前に進んだことへの喜びの声をいただくときに社会的意義を実感します。私が印象に残っているエピソードをご紹介します。とある先生がAntaa QAに「90代の女性への手術の適用に悩んでいる」と投稿したところ、別の先生が「似た事例で手術に踏み切ったことがありますよ」と詳しく回答を書き込んでくれたんです。その投稿によって質問主の先生は「手術を行った症例がある」と院内でコンセンサスを取って手術を実施。90代の女性は歩行できるほどまでに回復して、本人も家族もとても喜んでおられたというのです。そして最終的には、投稿を通して医学知見をシェアしてくださる現場の先生方が評価されるというサイクル。この仕組みが回り続ける限り、同じような事例は生まれ続けると思っています。

コミュニティの質を第一優先に、提携先にも新しい価値提供を

ーーアンターのサービスにより収益を生み出すフェーズでは、どのような点を意識されましたか?

私たちのサービスは、ユーザーである医師や医学生の信頼の上に成り立っているものです。例えば先生方がが必要としていない情報であっても無理矢理提供してしまうなど、安直にマネタイズに走ればユーザーの信頼を損なってしまいます。アンターのサービスは先生方に心地よく使っていただくことを何よりも優先し、先生方の思いやりに溢れた雰囲気をそのままにサービスを展開する必要があります。

上記の前提を元に、大手製薬企業といえばおよそ30社ほどと数えるほどですので、私たちの世界観を丁寧にご説明しながら、互いにとってよい形が作れるまで粘りつよく、長期的な目線で「いつかご一緒できるのではないか」というスタンスでお付き合いを続けることもあります。

ーー製薬を含めた提携企業は、アンターにどのような魅力を感じているのでしょうか?

学会や医師会などKOLにアクセスする既存のマーケティングに加え、昨今においては「DOL(デジタルオピニオンリーダー)」なるものへのアプローチが加速しているように感じます。

当社では従来のKOLに加えて、DOLつまりデジタルオピニオンリーダーに注目しています。デジタルオピニオンリーダーとは、ITスキルを持ち合わせた医師や、インターネット上で発信力を持つ医師を指す言葉です。感度が高い若手医師はSNSを中心に積極的に情報を発信しています。アンターには多くのDOLが登録していますので、そういった面でも提携企業は当社に興味関心を持っていただいております。

こと製薬企業においては一般医薬品のマスマーケティングに軸足を置いたビジネスモデルから、希少疾患などより狭いターゲットに対する高単価薬品による高収益モデルへの転換もトレンドとなっており、よりセグメント分けされた医師へのアプローチという文脈でもアンターのコミュニティは提携企業に対しても価値提供を可能にしていると感じます。

JMDCへのグループインの決断と変化

ーー2021年8月、アンターはJMDC株式会社(以下、JMDC)に参画されています。JMDCへのグループインを決めた理由についてお聞かせください

私たちはMAという選択は考えていませんでしたが、JMDCさんからグループインのお話をいただき、事業を進める上で選択肢としてMAが浮上しました。

親会社としてのJMDCについて、その特徴を挙げるとするならば、「ヘルスケア領域の創業者を大切にする」企業といえると思います。当社のみならずJMDCの他グループ会社に関しても、想いの強い医療者が立ち上げた企業では、やはり創業者の経営方針・ビジョンがその中核を担っているということもあり、それを理解しているからこそ、グループイン後に厳しい監視体制が敷かれることもなく、何よりもアンターの世界感を変えずにいられることに魅力を感じてオファーを受けました。

ーーグループインの際に意識されたことはございましたか?

やはりユーザーである医師や医学生の方々へのご説明は丁寧に行いました。「JMDC社が持つビッグデータやグループのアセットが、私たちに良い形で共有されることで先生たちにも還元できる仕組みを作りたい」とポジティブなメッセージを発信しました。それもあってかユーザーの皆様からはグループインについてアンターの成長と一緒に喜んでくださる先生までいらっしゃいます。

ーーJMDCへのグループイン後の変化についてお聞かせください

グループイン後の変化としましては、主に事業促進のために必要な人員サポート、バックオフィス体制の強化、販促拡大にあたりご支援をいただいています。また、アンターのサービス付加価値向上にも寄与いただいています。

JMDCではグループ会社が心地よく働いてもらうためのリソースを惜しまず、コーポレート体制の拡充、具体的には法務周りや各種議事録フォーマットの共有、社内健康診断の仕組みのアップデートなどの体制強化が進んでいます。

営業面でいえばJMDCを含めたグループ会社の契約・提携先に紐付いた販路の拡大が可能になることもあります。私たちよりもグループ会社の方が、他対象になる企業と関係性が深い場合は、ご紹介をいただく機会もあります。

また、今後JMDCの主軸であるビッグデータ事業とのシナジーも生み出していけると考えています。例えばお薬の話をすると、これまで通りアンターのサービスを通しての「現場医師としての見方」に加え、「最近処方されている薬剤のトレンド」など、マクロな視点のデータが加わることで、よりサービスの付加価値を高められるのではないかと考えています。

様々な面でグループ会社との協業、共創が進む中でも、各企業のコアとなる価値観は独立し続ける状態で、良い意味で文化の融合もなく、アンターらしさはもちろん生き続けています。私たち経営陣もこのMAは、事業を前に進めるため、この尊いサービスを永続させるためにふさわしいMAだったと思っています。

医師が心地良い場所を増やしていきたい

ーーアンターの今後の事業展開についてお聞かせください。

先生方が思いを寄せてサービスを使ってくれているのが私たちの何よりの強みです。先生方と伴奏しながら、成長をサポートし、未来を作っていくことが私たちのやっていきたいこと。

具体的には、ICTを活用することでどこにいても学べる環境や、医師の働き方改革に向けたサービス展開、離島医療や僻地医療の形を変えていくことも考えています。

抽象的な話になりますが、診療科や垣根や年次といった境界線をなくすこと、もっとなめらかにすることを目指したいと考えています。アンターのコミュニティは垣根を越えられるコミュニティ集団です。アンターがいつまでも医師達にとって心地よいと感じられる居場所であり続けられるよう、これからも邁進していきたいと思います。医療の未来を医師・医学生の皆様と一緒に作って行きたいですね!

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アンター株式会社
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