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【事業編】プロダクトとコミュニティの成長を同時に仕掛ける。成長過程のデリケートゾーンケアのマーケットに挑む、スタートアップ企業のリアル。

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2022.12.08

インタビュー

資金調達

前編の記事ではMellia株式会社CEOの原由記氏に前職のキャリアと創業までの歩みについて話を聞いた。後編である今回の記事では、原氏にMellia株式会社が取り組んでいる事業の設計や、資金調達のハードル、投資家たちとの関わり方について取材していく。

【プロフィール】
ベンチャー系化粧品メーカーで商品企画兼広告プロモーション部を統括。女性特有の悩みや、ホルモンバランスから起こりうるトラブルに着目し、2017年に幼馴染の和田氏とMellia株式会社を設立。女性一人ひとりに寄り添うデリケートゾーンケアブランド「I’m La Floria(アイム ラフロリア)」の商品開発・コンセプターを務める。

プロダクト開発当初にぶつかった壁

ーー現在、Melliaが提供するサービスについて教えてください。

現在は、デリケートゾーンのケアアイテム「I’m La Floria」ブランドの展開を行なっています。

ーー当初日本でデリケートゾーンケアへの関心が薄い中で、ぶつかった課題はありましたか?

前回の記事でお話した通り、創業当時日本ではデリケートゾーンのケアについてまだ馴染みがなく、海外と比較しても予想以上に文化への浸透が遅かったことでマーケットが伸び悩んでいたことが一番の課題でしたね。

ーーその中で、どう市場を開拓したのでしょうか?

デリケートゾーンのケアについて和田と調査をしていた際、検索が伸びていることを確認できたので、やりたいことは間違いではないと確信していました

また、私も和田も海外でのトレンドや文化をキャッチアップしていくのが好きで、ヨーロッパやアメリカなど行くことが多かったのですが、海外にはドラッグストアにもスーパーにもデリケートゾーンの棚があり、気軽に製品を買える状態でした。このような情報は、海外で見つけたらお互いに写真を送り合ったりしていました。

顧客視点やユーザーとの交流を意識し、事業をグロース

ーーデリケートゾーンケアは女性にとって重要な課題である一方で、話題にされにくい側面もあると思っています。どのようにブランドを展開したのでしょうか?

そうですね。情報の発信については、インスタライブやウェビナーでの勉強会を開催しています。
つい先日も婦人科の先生とウェビナーを実施したり、ワークショップを開いたりしました。

商品のPRの側面もありますが、ユーザーが自分の悩みを話せる環境や機会が増えればという思いが、そういった場を設けた背景にあります。

また、ポップアップも交流の一環として実施しています。直接商品に触れ、スタッフに疑問を投げかけたり、ちょっとした悩みを相談できる体験の場になっています。

ネット販売だけではなく、ユーザーが直接触れる機会を作ることで、認知や理解が広がっていくと考えています。

ポップアップの打ち出し方や場所も工夫をしています。
小さな店舗でポップアップを開催するよりも、銀座の大手百貨店の化粧品売り場や入り口で大きくポップアップを展開することで、みんな安心して購入・使用できると思います。

このことによって、デリケートゾーンケアアイテムを手にとるハードルを下げたり、「銀座でも売っている製品を私は使っているんだ」という自信を持ったり、弊社の製品を使っている自分を認める機会を作りたいと思っています。

マーケットがほぼ無かったからこそ、使用しているユーザーの安心に繋がるようなブランディングを発売当時から常に心掛けていますね。

ーーユーザーとのコミュニケーションの機会、そして安心感を与える機会としてとても重要なんですね。そのポップアップストアは、どのように出店が決まるのですか?

主に営業チームが動いています。
出店先のデパートも売り上げを作れそうなブランドでないと、承諾をしてくれないので、PRの方で認知を強化するなど、戦略を立ててポップアップ出店を決めることもあります。
出店を決めるために社内での連携や橋渡しをしながら、互いに力を合わせて各チームで意識して行っています。

ーーそのほかにユーザーとのコミュニケーションを意識している場はありますか?

ユーザーの方からプロダクトに関してのフィードバックをいただけるよう、ロイヤルカスタマーに向けてヒアリングのアンケートをお送りしたり、新商品発売前のタイミングでサンプルを送ってZOOMでヒアリングしたりしています。

弊社はメールの開封率が平均より高いらしく、送信後多くの回答がいただけるのでとてもありがたいですね。

また、メールやZOOMでのヒアリングを通じたコミュニティ作りも広げていきたいと思っています。
Instagramでアイム ラフロリアのブランドについて発信していただく「I’mアンバサダー」第2期生がスタートしたところです。

1期生ともコミュニケーションをとりながらの第2期生スタートの形なので、そこでのコミュニティがどんどん広がっていけばいいなと考えています。

ーー商品のユーザーはどんな方が多いのでしょうか?

ターゲットとなる年齢層などはあまり絞っていませんが、働いていて経済的に自立した女性の方に多く買っていただける傾向があります。

働く女性はデリケートゾーンに関する悩みを持つ方も多く、かつ金銭的にも比較的に余裕があるため、手にとっていただきやすいのかなと。
各年齢に合わせた悩みごとに、オイルやボディウォッシュ、モイスチャーキットなど最適なプロダクトを提案できる知見やイメージが定まってきているので、幅広い方に使っていただきたいと思っています。

POPUPに訪れる方は、百貨店にもよりますが、元々ブランドを知っている方やSNSを通して知った方もいますし、30代の方がフラッと寄られることも多いです。
また、実際にお悩みをスタッフに相談したくて来られる方もいます。

そういう言葉を聞けるとスタッフたちも次のプロダクトのプランを考えられますし、皆さんそれぞれの悩みがリアルに伝わります。

例えば、更年期を迎える女性だと乾燥が気になるとの声がありますし、もっと若い方だと匂いが気になるなど人それぞれです。そもそもデリケートゾーンのケアをなぜする必要があるのかを聞きに来る方もいらっしゃいます。

資金調達の課題と投資家とのコミュニケーションについて

ーー資金調達時のハードルになったことはありますでしょうか?

数年前は、まだマーケットが成長していないデリケートゾーンケアの必要性を、特に男性の担当者へ理解してもらうための説明がすごく大変でした。

性別の壁もあり、商品の価値を訴えるために一番重要である「顧客のペイン」の部分が理解してもらえないことが大きなハードルでした。

役員全員でどの表現だと理解してもらえるのか、どうアプローチをするのかと、ピッチブックの作り込みをしましたね。

ーーその結果もあり現在は、エンジェル投資家の方や、VCの方、事業会社など幅広い出資者から調達されていますが、何か出資先の基準はありますでしょうか?

弊社では、「一緒に事業を育ててくれるパートナー」を選ぶことを最も重要視しています。

具体的には、一緒に戦略を練ったり、販路を紹介してくれたり、私たちと同じようなステージの経営者を紹介していただいて、「話を聞いてみるとよいですよ」と促していただいたりもしています。なので、我々にとって資金以外にもメリットがとても大きいと感じています。

また、投資家さん毎に役割は基本的に決めておらず、困ったときや相談したいときは皆さんにフラットに聞くようにしています。投資家さんと毎月定例会があるので、そこで近況のシェアや、相談をさせていただいています。

フラットに相談はしますが、なにか問題解決や相談を深めていくときは手が上がった方と進めています。
その時々に応じて、相性の良い投資家さんと協力しあうイメージです。

今後の展望 アジア展開を視野にいれつつ、ウェルネス領域の製品も増やしていきたい

ーー市場拡大が進む兆しはありますか?

2022年10月に「フェムテック東京」という展示会のイベントがありました。
これまでフェムテック分野は、美容の1カテゴリの中でしかなかったのですが、今回初めて独立したイベントが開催されました。
フェムテック市場が拡大していることの裏付けであり、そして今後もさらに拡大していく大きな転機だと捉えています。

ーー 今後、医療業界との業務提携についての構想はありますか?

医療分野との提携は今はまだ大きく進めていませんが、販路拡大、信頼向上の点で効果が大きいと思うので、今後視野に入れています。
実際に産婦人科の先生と勉強会を実施した際には、参加者の理解度がとても深いというメリットがありました。

先生に参加していただくために弊社と親和性の高そうな先生にメールを送ったり、電話をかけてみたりと地道な連絡をしたことが実を結びました。

医師の先生方の知識には説得力がありますし、デリケートな悩みだからこそ、「悩みの解決」に強い医療分野の力をお借りしながら進んでいきたいと思っています。

ーー今後、新しいプロジェクトや直近で新しい製品の取り組みがあれば教えてください。

新商品は常に検討と開発をしています。
よりウェルネスに特化したような商品も今後出していきたいと思っていて、すでに企画開発に入っています。
今はまだリサーチ中ですが、中国を中心としてアジア地域へ進出することも考えています。

まずは日本から、今後もデリケートゾーンのケアに対する認知と理解を広げていければと思っています。

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